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【慢性疼痛】疼痛とは?

更新日:2023年5月7日

はじめに........


ネットのQ&Aを見てると、

「痛み止めを飲んでるけど、効果があまりない」 「飲んでる薬が多すぎるけど大丈夫なのか」 「色んな検査をしたけど特に体に異常がなく、痛みの原因がわからない」 「精神疾患と診断されたけど、それが痛みと関係してるのか」 「家族が理解してくれない」

などの声が見受けられました。

たぶんこれは痛みを経験するほとんどの人が思うことで、特に「家族が理解してくれない」は私も昔思っていました。「自分だけが辛い思いをしている」、「どうして他の人は辛いのをわかってくれないんだ!」、そんな思いが頭をよぎっていました。

あなたはこの質問にいくつ答えられる?

でも、以下の質問にみなさんはどれくらい自信を持って答えられるでしょうか?

Q1.なぜ疼痛はあるのですか? Q2.どのようにして疼痛は生まれるんですか? Q3.疼痛が起きる原因は何でしょうか?

ほぼすべて答えられない人が多いのではないでしょうか?


「他人に理解してほしい」という気持ちは誰でも持ちますが、そのためにはみなさん自身が、「痛み(疼痛)や慢性疼痛」について理解する必要があります。

痛みや慢性疼痛を勉強することは、自分の痛みについて知ることと同じで、同時に痛みが起きる原因と解決策を知ることができます。 自分で痛みをコントロールできるようになって初めて「奥さん/旦那さんにこれは協力してほしい」、「会社に働く時間を変れるか相談したい」など、具体的に他者にどうしてほしいのかが言えるようになると私は思います。

そこで、少しでもみなさんの痛みを緩和するため、いくつかのシリーズに分けて「疼痛」について、そしてその緩和方法をご紹介していきます。


シリーズ1「疼痛ってなに?」

最初のシリーズでは「疼痛」そのものについてご紹介します。 この記事を読めば、上記の質問に自信を持って答えられるようになります。

痛みの緩和に取り組む中で、「疼痛」や「慢性疼痛」について知ることはとても大切です。疼痛について学ぶことで実際に痛みの軽減につながったり、体を動かすことに対しての恐れも少なくなることが研究で報告されています。


【体験談】疼痛について学んだことで、より人生が楽しくなった件

実際に私自身も本や論文を読む前は、「この痛みはどうすることもできない」と思ったり、痛みが強くなると横になってあまり体を動かさないことが多かった記憶があります。当時は、痛みでイライラして、家族に対して強くあたってしまったり、大学の勉強に集中できなかったり、痛くて質のいい睡眠がちゃんと摂れなかったり、友達と会うのもイヤになったり、「痛みに感情をもってかれてたな~」と思う生活を過ごしてましたね。


でも、「痛みは思考とつながっている」ことや「運動が痛みを和らげてくれる」という事実を知るにつれ、「てことはストレスや不安対策をちゃんとすればいんじゃね?しかも自然に触れながら体動かせる登山とか最強じゃん!」と思い、本などを読んで実践すること約6ヶ月。今では上記で書いたような状態になることはほとんどなくなりました。1日の気分もだいぶ安定して、そのおかげで色んなことに挑戦できるようになりました。


みなさんにも同じように、痛みにとらわれない、より楽しい人生を謳歌してほしいです。

向き合うことに価値がある!


記事を読む前に見てほしい動画📱

話が少し脱線してしまいましたが、下記にあるサイトURLの動画を参考に「痛み」について理解を深めていきましょう!


Pain Management Network - 痛みって何でしょう? この「痛みについての紹介」動画では、

①なぜ疼痛は生まれるのか ②疼痛は脳内でどのように作られるのか ③急性痛と慢性疼痛の違い ④思考や感情が疼痛と関係していること ⑤疼痛を和らげる”神経可塑性”について

の5つを10分程度でとてもわかり易く簡潔に説明してくれます。時間があるときに動画を必ず見てみましょう。めっちゃ分かりやすい😃

本記事ではこの5つのセクションの詳細についてお話します。

なお、本記事で「疼痛」と「痛み」の2種類を使いますが、意味は同じです。疼痛は医学用語でカッコよく表現したもの!慢性疼痛も慢性痛と同じ意味でっせ!

①なぜ疼痛は生まれるの?🤷‍♀️

動画内でもちらっと説明があったように、「疼痛」自体は私たちの身を守るためにあります。でも「痛み」って必要なのか?

時は遡ること何万年前、とりあえずまだ私たちの先祖が狩猟をしていた時代。村一番のハンター、ケロ助とケロンチョのコンビは、今日もまたお肉をゲットするために狩りに出かけていきました。


いつものように原っぱまでの道のりを歩いていた二人、ふとケロ助はケロンチョの顔色が悪いことに気が付きました。彼の左足を見ると、そこから大量の血が流れていました。どんどん顔色が悪くなっていくケロンチョ。彼を担いだケロ助は急いで村まで戻り、村のドクターに助けを求めます。しかし時既に遅し、ケロンチョは多量出血のため亡くなってしまいます。



「何が原因だったのか」。最愛の相棒を失くしたケロ助は原因を探るため、いつもの原っぱまでの道のりを入念に調べます。すると彼は、尖った岩にケロンチョの血がついているのを発見します。「きっと彼はこれを踏んだことで血がでてしまったんだ。」と思ったケロ助は同時に、「もっと早い段階で怪我をしていたことに気づいていたらケロンチョは死ななくてすんだかもしれない。ということは、大事に至る前に自分たちの体に危険を知らせてくれる”信号”が必要だ!」と気付く。以降、この”信号”は”痛み”に変わり、ケロ助たちは生き残っていくことができました。



🔑今でも私たちが痛みを感じるのは、この”信号”が進化の過程で獲得されたからです。つまり、先祖が生き残るためには必要不可欠なツールとして存在していたからです。


②疼痛はどのように作られるの?🤷‍♂️

まず「疼痛」自体は、痛みの信号が脳内で「痛み」として変換された結果起きるものです。 よく誤解されるのが、「疼痛=身体ダメージ」というもので、身体の一部が何かしらの衝撃を受けた結果痛みが起きるという考えですが、これは半分正しいですが、半分間違っています よく例に挙げられるのが、“幻肢痛”と呼ばれるもので、左腕を失ってしまった人が、脳の錯覚によりまだ左腕があるように感じ、その失った腕をとても痛いと感じることです。逆のパターンもあって、腰痛が今まで一度もない100人をMRIにかけたところ、その約5割の人が本来なら腰痛につながるようなダメージ(椎間板の膨らみや変形性関節症)を持ってたが、腰痛などの症状はまったくみられなかったということ。


🔑この例からも分かるように、痛みは脳内変換されて生まれるんだよということ。慢性疼痛に関しては、ストレスや不安によって痛みが持続するケースが多い。



③急性痛と慢性疼痛の違い⚡

これについては前回の記事を読まれた方は知っていると思いますが、急性痛は必要な治療(薬や手術)によって治まるのですが、慢性疼痛はなかなかトリッキーで、薬を飲んでもなかなか治まらない。動画内で喋っているように、むしろ痛みがどんどん増して薬の種類や飲む量もどんどん増えていくケースが多いですよね😕

この理由としては、慢性的な痛みが脳を変化させてしまい、少しの刺激に対しても脳が「これは危険信号だ!🚨」と判断するから、痛みが起きてしまうのです。

🔑つまり、脳は痛みの刺激に敏感になってしまうので、これを落ち着かせるためには色んな方法でアプローチする必要があります。




④思考や感情が疼痛と関係していること😀😥😔

これはあんまり知られてない気がする。人によっては痛みを和らげるために抑うつの薬を処方されて、「痛みと関係ないやん!」と思いますよね。私も痛みの勉強をするまではまったく知らなくて、「思考とか感情で痛みのレベルが変えれるんだったら、苦労してないわ!」て感じでした笑 逆にあんまり知らないから見落とされがちだけど、ここを理解するのは一番重要!このセクションだけでも本記事を読む価値があるぐらい、めちゃめちゃ大事❗

あんまり私だけがテンション上がってても気持ち悪いので、ここは詳しく説明していきます。

-生物心理社会モデル

そもそもこの”生物心理社会モデル”とは、簡単にいうと、「疼痛は生物的・心理的・社会的領域が絡み合って生まれるんだよ」ということ。


「なんか難しそうなこと話してきそう!」と思った方、ご安心を。1つずつ例を挙げながらわかり易く説明します。


-生物🧍‍♂️

この生物的領域とは、遺伝、老化、組織のダメージなどなど、その人の体のコンディションによるものって感じです。例えば親の遺伝で生まれつき痛みを伴う病気を持っているとか(遺伝)、80歳の人が老化現象で背中が痛くなるとか(老化)、サッカーをしていたら足を骨折した(組織のダメージ)など、痛みが発生する原因が直接体にある場合。



-心理🧡

この領域には、認知、感情、思考、過去の体験(トラウマ)などがあります。自分たちが常日頃考えたり感じてることですね。例えば痛みに対して湧くネガティブな感情や思考(「もうやだ。。」「自分はダメなんだ」)、自動車事故で怪我して以来激しい痛みがあるから、自動車に乗るのが怖い(過去の体験)など。自分たちが経験するすべてのことをどう考え、どう感じるかということ。

慢性疼痛で敏感になってしまった脳は、日常のストレスや不安(仕事や人間関係など)にも反応し痛みを引き起こし、それによりさらにネガティブな感情が湧き、さらに痛みが強くなる、という負のサイクルに陥ってしまいます。

同時に様々な研究で、ストレスや不安の軽減は痛みの軽減にもつながることが証明されています。

🔑このことから分かるように、心理も痛みに関係しています。



-社会👨‍👩‍👧‍👦

この領域には、文化、人とのつながり、家族関係、社会的サポートなどの環境的要因があります。ここで一度、どのようにして社会的要素が直接痛みに影響を与えるのかを考えてみましょう。


みなさんは、

「人間に与えられる罰のなかで一番辛いもの」

は何だと思いますか?


勘のいい人はお気づきかと思いますが、それは「孤独」です。

理由は簡単で、人間は他人と交流しないと生きていけない動物(社会的動物)であり、これは生存するために他者を必要とするように進化してきたからです。

実際に、他人の存在があることで私たちの脳や体はリラックスする一方で、高齢者を対象にした研究では、孤独を感じることが多い人ほど病気やうつ病などのリスクが高まることが報告されています。

🔑このことから、社会的つながり(仕事、友人と会う、趣味の活動)がなくなってしまうと、不安やストレスが増加し、慢性疼痛も悪化してしまうわけですな。



-まとめ

ではこの3つの領域がどう影響し合っているのかを、以下の具体例からみてみましょう:


👉人間関係や社会とのつながり(社会)は思考や感情(心理的)と同様に、体内のホルモンや脳内化学物質(生物的)に影響を与える →痛みのレベルに影響❗


👉ストレスや不安のような感情変化(心理的)は、脳内化学物質・ホルモンレベル・免疫機能(生物的)にも影響を与える! →痛みのレベルに影響❗



👉質の良い睡眠や十分な栄養を摂ること(生物的)は、気分(心理的)や人との交流などの社会的機能(社会的)を向上させる! →痛みのレベルに影響❗

🔑このように全ての領域が影響し合うことで「痛み」は良くなったり悪くなったりします。でも逆に言うと”1つの領域を改善するだけでも他の2つの領域も同時に改善できる”ということです。



⑤疼痛を和らげる”神経可塑性”

最初の記事でも触れましたが、”神経可塑性(neuroplasticity)”とは、簡単にいえば「脳が新しい神経ネットワークを作ること」です。英語ではこれを"rewiring"と呼び、日本語では”再配線”と訳されます。 今までは人間のニューロンは成人以降は新しく増えることはないと言われていたのですが、少し前から「いや、何歳になってもニューロンは増やすことができるよ!」という考えに変わってきているんですな。

この神経可塑性のなにが素晴らしいかを説明するには、まずは神経可塑性に含まれる主な脳細胞について説明しましょう。



-ニューロン(神経細胞)

ニューロンとは脳そのものを構成する神経細胞と呼ばれるもので、私たちの脳には約1000億個のニューロンがあると言われています(多っ!😲)

このニューロンには2種類の「手」みたいなものが生えており、他のニューロンと手をつなぎ新しいネットワークを作ることで、物事を覚えたり学習したりすることができるのです。



-グリア細胞

グリア細胞はあんまり聞いたことがないかもしれなけど、実は脳細胞全体の85%を占めていて、その数はニューロンの数十倍はあるらしい。このグリア細胞はニューロンの働きを助ける役割を担っていて、私たちが覚えたり学習したりするのもこの細胞なしではできないんですな。ニューロンを支える縁の下の力持ちという感じ。



このグリア細胞が作るGDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)と呼ばれる成長因子は、脳の配線・再配線の働きを支援してくれます。つまり、この子たちがいないと神経可塑性は成り立たないというわけです。この細胞めっちゃ重要😎



-So What?🤷‍♂️

「この2つの脳細胞が重要なのは分かったけど、だからなに?」

てなりますよね。ここで1つ思い出してほしいのが、③急性痛と慢性疼痛の違い⚡で

脳は痛みの刺激に敏感になってしまうので、これを落ち着かせるためには色んな方法でアプローチする必要がある」

と書きましたが、敏感になった脳を落ち着かせるためには、慢性疼痛で変化ししてしまったネットワークの代わりに、新たなネットワークを作る必要があります。

つまり、神経可塑性に含まれるグリア細胞が、ニューロンの”新しいネットワークを作る活動”をサポートしてくれ、脳の再配線(神経可塑性)を促してくれるということです。

現在様々な研究で、運動・認知行動療法・瞑想・食事・社会交流などがこの神経可塑性を促してくれることが分かっています。

生物心理社会モデルを考えると分かるように、薬を飲むや整体に通うなどの、直接身体に働きかける行為(生物)以外にも、瞑想でストレスや不安レベルを下げたり(心理)、社会交流を行い他人や社会とのつながりを感じること(社会)も、神経可塑性の働きを手伝ってくれるのです。

🔑つまりこれらの活動を生活に取り入れることで、慢性疼痛で痛みに敏感になってしまった脳を落ち着かせ、痛みのレベルを下げることができるということです。


最後に

さていかがだったでしょうか? この記事を読んで、前よりも痛みについての理解が深まっていればとても嬉しいです!

最初に言ったように、痛みについて勉強することは、痛みの軽減や日々の活動に対するモチベーションの増加にもつながるので、一石二鳥ですな。

痛み軽減ができて何が一番良いって、痛みで家族や友人などの大事な人に当たることがほとんどなくなったこと。やっぱり自分のことをサポートしてくれる人たちは大切にしないといけないよね。これは慢性疼痛関係なしに大事なことな気がします。

では次回はエピソード2「医療チームの援助を得る」を深堀りしていきましょう!


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参考サイト・動画






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